ライブ配信用カメラのレンズ、何mmを選べばいいか計算式で出した

結論: デスクから70cmの距離で撮影するなら、Panasonic LUMIX DC-G100DやYoloCam S7(MFT)は25mm F1.7、SONY ZV-E10M2(APS-C)は35mm F1.8が計算上の答えになる。

配信を始めようとカメラをデスクに置いてテスト撮影したとき、録画した映像を見て「あれ、なんか顔が横に広くない?」と思った。

広角レンズだから顔が歪む、と思っていたのでとりあえず焦点距離を長くすれば解決すると思っていた。
でも調べていくうちに、それは正確ではないとわかった。

歪みの原因はレンズではなく、被写体との「距離」だった。

この記事では、その理屈を確認したうえで、デスク配信で実際に何mmのレンズを選べばいいかを計算式で出していく。
カメラ本体の選び方はまだ迷っている場合は先に配信カメラ本体の比較記事を読んでほしい。
レンズはカメラが決まってから選べばいい。

目次

そもそも顔が歪む原因って何?

「広角レンズで撮ると顔が歪む」という話はよく聞くし、僕も最初はそう思っていた。
でも調べて初めてわかったのは、広角レンズそのものが歪みを作っているわけではないということだ。

英語の映像制作メディア PremiumBeat や Fstoppers が指摘しているように、焦点距離が違う2本のレンズで、同じ被写体を同じ距離から撮影して、同じフレームサイズに切り出すと歪みはほとんど変わらない。
Wikipedia の “Perspective distortion in photography” でも同じ説明がある。

歪みを作っているのは「被写体との距離」だ。近づけば近づくほど、鼻が大きく見えて目が小さく見える。
あの”フィッシュアイな顔”は、広角のせいではなく近すぎる距離のせいで起きている。

逆に言うと、適切な距離さえ確保すれば、広角レンズでも歪まない。問題は「配信のデスク環境では後ろに下がれない」ことだ。カメラを1m以上離せれば広角でも問題ないが、デスク配信では物理的にそれができない場合が多い。

じゃあ焦点距離を変えると何が変わるのか

焦点距離を変えると、同じフレームに収めるために必要な撮影距離が変わる。焦点距離が直接歪みを決めているのではなく、「距離が変わることで歪みが変わる」というメカニズムだ。

デスク配信では後ろに下がれない分、焦点距離を長くすることで「適正な距離を光学的に作り出す」ことができる。だから焦点距離の選択が重要になる。計算で出せる話なので、次のセクションで実際にやってみる。

デスク配信70cmで最適な焦点距離を計算してみた

使う公式はシンプルだ。

必要焦点距離 = センサー幅 × 被写体距離 ÷ フレーム幅

「フレーム幅」は「横方向に何cmの範囲を映すか」という値だ。
ここでは上半身がほぼ画面いっぱいに入る状態を想定して、フレーム幅50cmという仮定値を使う。
実際の撮影環境によって多少変わるので、あくまで目安として扱ってほしい。
「被写体距離」はカメラのレンズ面から顔までの距離で、デスク配信の標準的な位置である70cmを使う。

センサー幅は機種によって違うので、カメラ別に計算する。

G100D / YoloCam S7 (マイクロフォーサーズ、センサー幅17.3mm)
f = 17.3 × 70 ÷ 50 = 24.2mm → 最も近い既製品は 25mm F1.7

ZV-E10M2 (APS-C Sony、センサー幅23.5mm)
f = 23.5 × 70 ÷ 50 = 32.9mm → 最も近い既製品は 35mm F1.8

視野角で補足すると、MFT の25mmはフルサイズ換算で50mm相当、ZV-E10M2の35mmはフルサイズ換算で約52mm相当になる。どちらも”人間の目に近い画角”に収まっていて、顔の歪みが出にくい距離を光学的に作り出せる焦点距離だ。

カメラ センサー幅 計算結果 推奨レンズ
G100D / YoloCam S7 17.3mm (MFT) 24.2mm LUMIX G 25mm F1.7
ZV-E10M2 23.5mm (APS-C) 32.9mm Sony E 35mm F1.8 OSS

G100D・YoloCam S7 ユーザーへ — LUMIX G 25mm F1.7 が答え

計算で出た24.2mmに最も近い既製品が Panasonic LUMIX G 25mm F1.7 (H-H025) だ。
Panasonicのマイクロフォーサーズ純正単焦点レンズで、Panasonic LUMIX DC-G100D にもYoloCam S7 にもそのまま付けられる。

一つ知っておくと便利なのが、F1.7という明るさの使い方だ。配信で絞りを全開(F1.7)にすると被写界深度が極端に浅くなって、少し前後に動いただけでピントが外れやすくなる。配信の実用域はF2〜F2.8で使うのが安定する。F1.7という数字はあくまで「明るさの余裕」として持っておくもので、そのまま全開にするものではない。

価格は2026年6月時点で23,800円前後。
「2万円台はレンズとしては安くない」と思うかもしれないが、比較対象を考えてみてほしい。リング照明、背景グッズ、Webカメラのアップグレード——配信環境を整えようとして買い足すものは多い。
でも、顔の映り方を根本から変えられるのはレンズだけだ。
リング照明を追加してもレンズが合っていなければ、照らされた変な映りが続く。

配信を見てくれる人は、カメラのスペックシートは見ていない。
見ているのは「その人の顔が自然に見えるかどうか」だ。
顔が横に広く見える状態で100時間配信を続けるより、1本のレンズで映りを正してから始める方が、チャンネルとして積み上がる印象が変わる。

2万円台のレンズを「高い」と感じている間も、変な映りで配信を続けた時間は戻らない。
最初の印象を修正するのは、正しい映りで始めるより何倍もコストがかかる。

今すぐ決めきれない場合は、GooPassで25mm F1.7をレンタルして自分のデスク環境で試す方法がある。月額プランなら1本試して交換もできるので、購入前の確認として使いやすい。

MFTカメラで配信するなら、25mm F1.7 が数字として出した答えだ。

ZV-E10M2 ユーザーへ — Sony E 35mm F1.8 OSS が答え

計算で出た32.9mmに最も近い既製品が Sony E 35mm F1.8 OSS (SEL35F18) だ。

この「OSS」という部分がAPS-C向けとしてポイントになる。
光学手ブレ補正が内蔵されているので、三脚なしの手持ち配信でもブレが出にくい。
配信用途でデスクに固定して使うなら手ブレ補正の出番は少ないが、ゲーム実況の合間に立ち上がったり機材を動かしたりする場面では効いてくる。
配信外のVLOG撮影に使ったら最高の組み合わせだ。

価格は2026年6月時点で52,455円前後。
25mm F1.7の倍以上で、これは確かに高い。
ただ考えてみてほしいのは、SONY ZV-E10M2を選んだ理由だ。
画質で配信の映りを本気にするためだったはずで、キットズーム(16-50mm)のままにしておくとボディのスペックが半分も活きない。センサーの性能をフルに引き出せるのは、光学性能が揃ったレンズを付けたときだ。

僕がNikon ZfにZマウントの単焦点を合わせたとき、キットズームとの違いは明らかだった。同じカメラボディでも、レンズが変わると映像の質感が別物になる。ZV-E10M2とSony E 35mm F1.8 OSS (SEL35F18)の組み合わせも同じで、配信カテゴリの中で映りが一段違う仕上がりになる。

購入前に試したい場合、GooPassでSEL35F18のレンタル在庫を確認してみてほしい。Rentioでもスポットレンタルができるので、1週間借りて配信に使って映りを確認してから購入を決める、というルートが現実的だ。

ZV-E10M2 に付けるなら、35mm F1.8 が計算通りの答えになる。

自分のカメラの焦点距離を自分で計算する方法

G100DでもZV-E10M2でもない機種を持っている場合は、同じ公式で自分のカメラ向けの答えが出せる。

必要焦点距離 = センサー幅 × 被写体距離 ÷ フレーム幅

センサー幅の数値はカメラのメーカー公式仕様ページに記載されている。主要センサーの参考値を以下にまとめた。

センサー規格 センサー幅(目安) 70cm距離/フレーム幅50cmでの計算結果
フルサイズ 36.0mm 50.4mm → 50mm前後
APS-C (Sony) 23.5mm 32.9mm → 35mm
APS-C (Nikon/Fuji) 23.6mm 33.0mm → 35mm
マイクロフォーサーズ 17.3mm 24.2mm → 25mm
1型 13.2mm 18.5mm → 20mm前後

撮影距離が70cmでない場合は、自分の実際のデスクとカメラの距離を測って「70」の部分を差し替えてほしい。30cmしか取れないなら数字が小さくなり、広角寄りの焦点距離になる。

また、TikTok LIVEのような縦動画フォーマットで配信する場合は注意が必要だ。縦動画では横方向のフレーム幅が狭くなるため、「フレーム幅50cm」の前提が変わる。縦配信メインなら実際のフレーム幅を測り直して計算するか、実測で調整する方が正確だ。

まず試してからレンズを買う — GooPass・Rentio の使い方

「25mm F1.7は2万円台だからまだいいとして、SEL35F18の5万円超は試さずに買うのは怖い」という気持ちは正しい。レンズは実際に自分のデスク環境で使ってみないと、計算通りの映りになるかどうかが確認できない。

GooPassはレンズ単体のレンタルサブスクで、月額プランなら1本借りて使い心地を確認してから別のレンズに交換できる。購入前の確認用途として使いやすい仕組みだ。

カメラ本体も含めてレンタルで配信環境を試したい場合はこちらのレンタルまとめ記事も参考にしてほしい。

スポットで1週間だけ試したいならRentioも使える。1週間借りて配信に実際に使い、映りに満足したら購入を決める、というのが最短ルートだ。

よくある質問

Q: 換算焦点距離と実焦点距離はどちらで選べばいい?

計算式で使うのは実焦点距離のレンズ本体に書いてある数字だ。換算焦点距離(フルサイズ換算)は「フルサイズカメラで例えると何mmに相当するか」という比較用の数字で、計算とは別の話になる。レンズを選ぶときは本体に書いてある実焦点距離で計算すればいい。

Q: キットレンズ(ズームレンズ)じゃダメなの?

使えないわけではないが、配信映りで不利になる場面がある。ズームレンズの広角端(例: 16-50mmのうち16mm側)をデスク配信で使うと、フレームを埋めるために被写体に近づきすぎて歪みが出やすくなる。単焦点を使うと「この距離で撮る」という位置が固定されるので、配信中の映りが安定する。

Q: F値(絞り)は配信でどれくらいがいい?

F2〜F2.8が実用的な範囲だ。開放(F1.7やF1.8)にするとピントが極端に浅くなって少しの動きでピントが外れやすくなる。F5.6以上に絞ると背景ボケがなくなってウェブカメラと変わらない映りになる。F2〜F2.8は「ボケは出つつ、ピントが多少ずれても外れにくい」バランスになる。

Q: TikTok LIVEは縦動画なので焦点距離の計算が変わる?

変わる。縦動画では横方向のフレーム幅が通常の横動画より狭くなるため、同じ撮影距離でも必要な焦点距離が短く(広角寄りに)なる。縦配信メインなら実際のフレーム幅を測り直して計算するか、実際に撮影して確認しながら調整してほしい。

Q: G100D と YoloCam S7 でセンサーサイズは同じ?

どちらもマイクロフォーサーズ(MFT)規格でセンサー幅は17.3mmで共通だ。計算結果は同じになるので、どちらのカメラでも25mm F1.7が答えになる。

まとめ

焦点距離は撮影距離を決める道具だ。距離が決まれば歪みが決まる。デスク70cmの距離なら、G100D/YoloCam S7は25mm、ZV-E10M2は35mmが計算で出た答えになる。

配信カメラ本体の選び方はこちら → 配信カメラ本体比較記事
カメラごとレンタルで試したい場合はこちら → カメラ・機材レンタルまとめ

PR

シェアしていただけると嬉しいです!
  • URLをコピーしました!
目次